#39 報酬依存度と独立性②

与える実務影響

#38の続きです。

さて、IESBAの改訂内容が日本にそのまま導入されたら、影響はなかなか大きそうです。
特に、PIEからの報酬依存度15%超が5年継続したら監査人辞任、というのは随分ハードです。
もし、純粋に監査報酬だけを分母にして計算したら、1/6(総数6社)で確実に1社以上が引っかかる。
ということは10社程度以下なら何某か引っかかってしまう可能性がありますね。
中小監査法人を中心にの経営影響が十分に考えられます。
一方で、クライアント側も監査人を交代せねばならず、こちらも監査対応コストは大きい。
また、報酬依存度に関する開示をする方法も挙げられていますが、こちらも抵抗はありそうです。

あくまで日本に導入されたら、ですが。

報酬と独立性

会計士は「独立性」の概念が大変重要です。
いわゆる「公正不偏の態度を保持」しなければならない。
特に監査をする場面において求められますね。

独立性というのは、大きく分けて2つあります。
精神的独立性と外観的独立性。
(会計士は当然、監査論学習経験者でもおなじみですね)
精神:諸要因から公正不偏の態度を受けない精神状態。つまり実質的。
外観:公正不偏の態度が外観上阻害されているような状態。つまり形式的。

現行制度は、監査人は報酬を監査クライアントよりいただきます。
「え?監査している相手からお金もらってて、無理難題(ex.不正の許容など)を押し付けられたら、承諾しちゃうんじゃないの???」
これが独立性を阻害している例で、よく巷でも言われる話ですね。

そう、報酬問題というのは独立性問題と非常に深い関係にあります。
伝統的・基本的・重要な議論です。

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