#39 報酬依存度と独立性②

独立性は、個人・カネ・プライド

今回の報酬依存15%超なら5年経過後に辞任、といった改定案、どう思われますか?
報酬と独立性には密接な問題がある以上、具体的な規制内容はさておき趣旨は理解できます。
(さすがに辞任というのは厳しいなぁという印象ですし、PIE以外まで把握するのも費用対効果が悪すぎる気はしますけども)

ここで考えてみたいのは、この問題の本質は何なのか?ということ。
報酬と独立性の問題を直球でイメージするなら、
「自分の生活やプライドに支障をきたすか?」
誰のかといえば、「自分」であり、何にかといえば「カネ・プライド」。(ここでいうプライドは卑しいものではなく、譲れない物事、矜持の意味合いです)
仮に一従業員であるとして、会社の利益のために個人で敢えて態度を崩そうと思いますか?
一方で、自分に降りかかる内容なら心揺れませんか?

色々思うことがあります。

今回の規制をそのまま受けたら、影響があるのは中小監査法人や個人が中心になるでしょう。 
私も監査業務を受嘱していたら例外ではありません。
でも、彼等は監査以外に自らの仕事をしている方も多いです。
もし分母を監査報酬だけにしたら、「自分」という点で意味あるんでしょうか?
(実際にどのように計算されるものなのかは知らないです)

一方で大規模監査法人は、ほぼサラリーだから報酬問題は一切関係がない、と言えるのか?
確かに個人のカネに大した問題は起きません。
でも、理由はどうあれロストしたらプライドが傷付いたりしませんか?
場合によってはすごく避けたい場面もありやしませんか?
マズローの承認欲求というやつです。
(実際にそれが起こっているのかは知りません)

独立性は自立すること。
自分(仕事を含む)に対する自立、経済的な自立

結局ここなのかなと。

教科書論では片づけらない問題

ちなみに私は「独立性を厳密に適用すべき!」論者でもありません。
1つ思うことは、簡単な問題じゃないという事。
教科書では片づけられない問題。
人間の泥臭い部分だと思うのです。
すごく感情的な部分が入り込む世界。
でもそれを規制するには、ルールで対応するしか現実的に難しいのを理解しています。
ただ、泥臭い問題ものに、無色であり脂っこさもないルールで対応するのだから、簡単には噛み合わないですよね。

外観的独立性への対応にはなるでしょう。
本来の目的である精神的独立性側への対応は、限界もあるだろうとも思うのです。
不祥事起きれば自ら襟を正し(規制)、時が経ちまた繰り返す。
完璧な対応策がないので、こういうものなのか
とも思います。

不思議なものです。
この類の話は社会の至る所にある気がします。
それくらい監査は中立を重んじるというか、襟を正してする仕事、なんでしょうかね。

今後終わることのない議論ですので、私も業界人として常に考え、ウォッチしていきたいと思います。

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