#67 会計士の実態 「不正見逃すなんて何やってんだ!?」

会計士の実態を紹介してみたくなった

「不正だ会計不祥事だ!」
報道で目にしますよね。
ここ10年以内だと、東芝事件は多くの人が驚いたのではないでしょうか。 
その度に必ず起こるのが「会計士は何やってんだ😡」の声。
そりゃそうですよね・・・

ただ、そもそも会計士による監査がどんなものなのか、ピンとこない方も多いのでは?
検察、ガサ入れみたいな感じなの?なんて聞かれたこともあります。 
そこで、監査ってぶっちゃけどんな感じなの?に答えていきます。
批判承知、偏った視点の可能性大。
少しでも平易な言葉で、現場のイメージが見えるように。

ということで、業界の人にとってはここからは当たり前、くだらない内容ですので、ご承知おき下さい。

よく聞く質問3つから切り込みます。

①会社側は協力的なの? 
②全ての資料をチェックしているんでしょ?
③強制捜査権あるんでしょ?

①会社側は協力的なの? ⇒ 基本的に協力的です

監査において会社側は基本的に協力的です。
健全で良好な関係を構築している所が多いと思われます。
何度も同じ資料を要求したり or 全く以て無意味な資料要求や質問を繰り返せば難色を示される時も多いですが、それは当たり前ですからね。

ただ世間を騒がせる不正事例は、会社側が意図的に行っているもので、それに関する会計士への情報提供は基本されないと言っていいでしょう。
それは意図的に行わないだけでなく、純粋に知らないケースがあります。
例えば、一部の部署が不正を行っていて、上層部や他の役員が知らないケースがあります。
得てして社内コミュニケーションは良好ではないでしょうから、その場合会計士が早期に感知するのは難しいと思います。

会計士の声
「まさか○○部で不正をしていたとは、、、知らなかった」

でもそもそも全資料をチェックするんじゃないの?そうすれば見つけられるんじゃないの?という問いを聞きます。
続いてはこちら。

②全ての資料をチェックしているんでしょ? ⇒ Noです。

全ての会社資料のチェックはしません。
というより、監査はその考えで成り立っていないですし、現実できません。
監査は重要度の高い箇所を中心にリソースを配分して行います。
重要度の高い箇所にアプローチすることを「リスクアプローチ」といい、一部の資料にフォーカスを当てることを「試査」と言います。(反対の概念は、全てをチェックする「精査」)
資源(主に人)は限られています。
例えば、脱税も完全に見つけられません。全ての会社に調査入って、全ての資料を見てはいないと思います。
警察だって、犯人を完全に見つけられません。見つけるまで警官を総動員しないでしょう。
開き直っている訳ではありません。
会計士も普通の人間であり、普通に仕事をしている人たちです。

会計士の声
「こっちも人数限られてるんだし、全部なんか見れんわ!」

なお、世間はデジタルの流れが加速してますが、監査業界もこれに乗っていて、「精査」が実現するとも言われています。人海戦術では不可能だった領域へ。
実際はどうでしょう?近づくとは思います。
でも全て調べたからといって「ハイ、不正見っけ♪」には必ずしもならないと思います。
会計処理は白黒はっきりつけられないもの、つまりグレーなものも多いです。

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