#62 監査法人からのIPOキャリア②

前回の続きです。

2.IPO業務の特徴、位置づけ

まずはサービスライン的な切り口から。
私は監査法人によるIPO業務は「監査とアドバイザリーの融合業務」だと思っています。

先日述べたように、監査法人の提供業務は最終的には監査業務になります。
これを見据えた業務が本丸であり王道です。一にも二にもまずは監査から。

ただ、クライアントは今まで会計監査など受けてきていないのが普通です。
創業間もなく、個人商店の延長線に立っている会社も多いです。
監査とは会計とは何ぞや?です。
そんなクライアントに対して「監査では○○が必要です!!上場会社は皆自力でやっていますんで、そちらで考えてやってくださいねー、ハイ!」
これでは前に進みません。

だからアドバイザリー的な要素が色濃くなってくるのです。監査論で言えば、指導的機能でしょうか。
しかも、IPOしたいという前向きな状態。「先生!どんどん教えてください!!」って感じで。
(普通のノリの会社も多いですが)
基準に関して能書き垂れるだけでは思いに応えられないと思います。

次に関わる人達という切り口から。
IPO業務は、証券市場、証券会社、監査法人(主なプレイヤーとします)、他にも印刷会社や他の専門家など、監査法人会計士以外の人達と関わる機会が多くなる傾向にあります。
で、主なプレイヤー達は、それぞれが微妙に責任を分け合いながら関わっています。
境目が分かりにくい場合もままありますね。
例えば、会計監査領域は監査人の責任範囲なはずなのに、証券会社が口出ししてくることも時としてあるようで。まぁ、証券市場の主たる窓口で何かと対応しなければならない彼等からすれば当然なのかもしれませんが。

いずれにせよ、監査法人以外の沢山のパワフルな方達とお付き合いするのが好きな方は、IPOは楽しいでしょうね。

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