#91 昔の監査の思い出③ 東日本大震災時の決算

Episode3:11年前の今日を思い出して

今日は3月11日です。
2011年の今日、東日本大震災が発生しました。
あれからもう11年が経つんですね。
思えば、2011年3月期決算は特別な年でした。

発生当日、私はとあるクライアントの事業所視察に出向いており、地震発生時は倉庫の中にいました。
偶然モノは少ない場所で、何かが落ちてくることもなく、逆に今一つ気付かない状況でした。
それでも、地面が長~いこと&ゆっくり&大きく揺れていることに気付き、思わず「あれ?なんか地面揺れていません?地震ですか?」と言ったのを覚えています。
その後、事業所のオフィスに戻ってテレビをつけたら、とんでもないことになっていて、驚きました。

刻々と明らかになる被害、悩む決算及び監査対応

さて、私は当時会計士業界に入り5年弱が経過、役職は監査法人のシニアでした。
仕事は監査エンゲージメントのインチャージ。
シニアと言っても経験はまだまだでした。

当時私が担当しているクライアントも大きな被害を受けました。
うち1つの会社さん(K社)は全国に支店営業所を展開、関東方面にもいくつか拠点があり、かなり被害を被りました。
K社は3月決算。
当時3月から4月にかけて、日々刻々と被害状況が明らかになっていきます。日々情報が目まぐるしく変わり予想もつかない。
K社も同様で、人的物的被害が見えてくると同時に、決算への影響も刻々と明らかになっていきました。

例えば、

・○○支店の建物が損壊したようだ! 
⇒ 除却損等の会計処理が必要になりますね。。。といっても、どこまで損壊したのか分かるのか??いや、分からない。じゃあ確認しに行くか?って、こんな状況の時に行けますか?そもそも交通機関もマヒしているのに。おい、どうする??? 

・取引先○○社と連絡がつかなくなった!
⇒ 売掛金が回収できるか不透明になってきたってことですか?
⇒ 貸倒引当金の計上が必要か。。。って、連絡がつかないだけで、それ以外に証拠は何もないんですよね??どうするんだ???

・あ、4月以降明らかになる事象は後発事象ってことか。
⇒ 待てよ、そもそも、発生日が3/11ってことは、基本的には「修正」後発事象になるのでは?
⇒ いや、理屈はそうだけど、それでは現実的に決算締めれないですよね??新情報が入る度に決算修正するなんてできないじゃない。どうするんだ??

なんて感じで。
一体どうしたらいいんだ、という思いでした。
社会は大混乱。そもそも人的被害も酷い中、会計処理なんぞ(呑気に?)議論してていいのだろうか・・・とも思ったり。

当時現場に立たれていた方は同じような経験をされたでしょう。
名古屋の私でもそうなのですから、関東以北の方は本当に大変だったと思われます。

次のページへ >

-Break, 専門知識・実務・お仕事