#93 内部統制、会計士の存在:外部証拠と内部証拠から

問題を孕んでいる可能性がある

さて、イトウくんとハセガワくんは、外部証拠である残高確認状との一致を単純に突合して終わらせようとしています。

何か問題はないでしょうか?

証拠力は「外部>内部」と言いました。
それは正しいのですが、まずもって、仮に外部証拠であったとしても、これを鵜吞みにすることは少々危険です。
今日は詳細を割愛しますが、検証しようとする数字と外部証拠は必ずしも無条件に一致するわけではありません。
イトウくんはこの事についてどこまで留意をしていたでしょうか?
していなければ、まずこの点を見直す必要があります。


ハセガワ:「N社の場合、預金調整とか必要ないんでしょ?」
イトウ:「この会社の場合、銀行勘定調整表を使って預金残高調整をする必要のある取引は確認したけどないはず。だから、やはり外部証拠と一致してれば残高としては正しいと言えるよ。だから大丈夫!」

すると、その会話を聞いていた後輩のアサノくんが言葉を発しました。

アサノ:「残高は正しいのでしょうけど、内部証拠で不一致の状態があるまま放置していいんですかね?本来合うべき資料なんですよね?それにその突合もきっと意味があるから今まで監査手続としてやっている気もするんですが・・・」
イトウ:「え?うーん・・・」

イトウくんは、アサノくんの言う意味が心に響きます。

次のページへ >

-専門知識・実務・お仕事