#93 内部統制、会計士の存在:外部証拠と内部証拠から

そして何より、健全な企業経営のための内部統制がある

イトウくんはモヤモヤしています。
そこでパートナーのKさんに話を聞いてもらうことにしました。

Kさん:「その件については1つ話があって。『確認状(外部証拠)と社内管理資料(内部証拠)のどちらが重要か?』って聞くと、みんな必ず『確認状!』って答えるんだよ。監査論的には当然正しいのだけど、僕なんかは少し異なる考えを持っててね。何かというと、企業には必ず内部統制というものがあって、健全な企業体制を考えたらこれは必ず必要なの。その前提で監査をしている以上、その構築に向けて懸念があれば我々は必ず会社に伝える必要があるし、そこに向けた監査業務をしたいんだよね。例え内部統制には依拠しない監査アプローチであったとしても。だから僕なんかはまず社内管理資料との突合から始めるけどね。これがスタートだと思うから。」


Kさんのメッセージは、
・企業には内部統制があり構築義務もある
・監査は内部統制の有効機能が前提である
・健全な企業体制には内部統制の構築が不可欠
⇒ 会計士にはこれに資するアプローチが必要だ

といった具合でしょうか。

・「外部証拠があるから、証拠力の弱い内部証憑は確認しなくてもいい」
・「作業効率化を考えたらそれがベスト」

私も思ったことがあります。
この声を聴いたこともあります。

ただ、Kさんのメッセージを聞くと何とも単純で味気ない対応であることに気付かされます。

数字が正しければそれでいい、という考えに疑念を。
作業効率重視の風潮にも疑念を。

数字の正しさを追求することは重要、利益を追い求めることも効率を考えることも必要。
しかし、その一方で我々の存在意義を我々が勝手に変えていっているかもしれないです。
どこか短期目線というか、他人事と言うか。
「内部統制の構築については俺らは知らない」という思いを感じさえもします。

内部証拠が使えないということは、内部統制が毀損している可能性が高い。
それは将来的な監査事故にも繋がりますし、企業も良くならない。
もっと長期的な目線で、本質的な部分を見つめないといけない。

Kさんのメッセージからはそれを感じることができました。
立場的にもスキル的にも、ここにアプローチできるのは会計士ならではだと思います。

ちょっと固くなっちゃいましたが、そう考えると監査も大いに社会貢献できる仕事なのではないかと思います。
それでは。

※ ちなみにこの話は私がシニアの頃に出会った話でした。

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