#31 監査実務紹介①(棚卸立会Part1)

監査人にとっての一大?イベント

9月30日です。
3月決算の企業は今日で半分が終了。
さて、期末や中間というのは、監査業務に携わる会計士にとっては1つのイベント日でもあります。
棚卸立会ですね。
簡単に言えば、モノを実際に数える監査手続です。
(中間監査が原則廃止になってから、中間では立会しない場面も多くなりましたが、リスク評価の観点で実施する場合もあります)
立会は、今も昔も重要かつ印象に残る手続です。
今日は監査実務紹介として、棚卸立会についての「現場リアル経験談」を記事にしてみます。
基準の文言やサンプリングや手続の流れ等は書きませんので、ご容赦ください。
それは監査法人のリクルートブログとか探せば見つかると思います!
最近話題になる「リモート棚卸立会」も私は結局未経験なので、どこかの記事を探してくださいね。

やり直しがきかないイベント

いきなり斜めから切り込みますが、棚卸立会というのは基本的に「やり直しがきかないイベント」です。
どういうことか?
2つの点で言えます。

 その場で完結しないとヤバイ
まず、立会はその時点における現場&現物をこの目👀で確認することに意味を持つ手続ですから、時が経てば急速に意味を失っていきます
簡単に言えば、モノが動いてしまったら、もはやその日時点の在庫状況ではないからです。
現場を後にしてから確認すべき事項の失念の気づいても、時既に遅し。
次に、企業側は基本生産や物流を止めて行っていますし、1つの業務としてスケジュール立てて行っています。
間違っても監査人側の都合(もたつきとか)で止めるわけにはいきません。
そんなことしたらクライアントからクレームです。
私ですが、J1J2くらいの時は、本当に完結しているか不安なまま現場を終えたことが、、、あります。
結果問題なく監査が終わったので良かったのでしょうが、当時は不安でした。
不安なタイプの方は、todoリスト(監査プログラムでもOK)を明確にしておきましょうね。
曖昧は禁物ですよ。

 存在を忘れたらヤバイ
これはインチャージ以上に関係する話ですが、もし実施すべき立会を失念したらヤバイです。
例えば、
・新しい倉庫ができそこに在庫を置いているのに、存在を失念した。
・監査手続上は10店舗立会すべき規模なのに、3店舗しか実行しなかった(結果カバー率が著しく不足した)
などなど。
①でも書いたように、立会はその時点の在庫を監査人の目👀で確認することに意味があるので、時が過ぎたらおしまいです。
しかも重要な手続。
失念がないか入念に確認しないといけません。
忘れて大慌てしてたチームを見たことはないですが、一事が万事なので気を付けたいですね。

なお、①については私は「やり直し」をしたことがあります
理由は、クライアントの棚卸の精度が非常に悪かった。
カウント誤りがあまりにも多く、未実施の箇所も多くあった。
正直、全体の妥当性を判断できるレベルになかったので、その場でやり直しをしていただきました。
結果予定よりも相当余分に時間がかかり、終わるのは明け方になっていました。
めちゃ眠かったです(笑)
まぁ、こういうケースはあまり多くはないでしょうけど。

生講評

良く言われるのですが、立会は現地での「生講評」がしばしばあります。
そう、クライアントの前で結果報告を求められるのです。

棚卸というのは企業にとっても大変重要な業務です。
まずもって在庫は企業の重要な財産ですし、管理部門やマネジメントの方々にとっても現場を見る貴重な機会となります。
そう、重要イベントであることは、監査人と全く同じです。
そんな重要イベントにはたくさんのクライアントの方々が同行されるんですよ。
たくさんだけではありません。偉い方々も普通に同行されます。
偉い方とは?
部長や課長にとどまらず、取締役や監査役もしばしば。
(社長も企業によってはあるかもしれませんね)
クライアントの方は、監査人がどういうポイントで確認しているか、興味持たれている方も多いのです。

さて、私が経験してきた講評をリポートします。
内容ではなく、「講評部屋の状況」
表にまとめてみました。

<講評パターン組み合わせ>

レベル ①クライアント同席者 ②講評部屋人数 ③チーム側同席者 ④質疑 ⑤雰囲気
H 取締役
監査役
30人超 1人 役員クラスからその場で質問 厳か
M 部長クラス
(経理以外含)
10~30人 複数人 経理or担当レベルでの質問 普通
L 現場責任者
課長クラス
ひとケタ マネジャーレベル同席 何もなし マイルド

以上①~⑤のそれぞれの組み合わせが起こり得ると思っていただければOKです。
継続監査の場合、過去の状況を確認することで事前にどのパターンかは想定できます。
ただ突然変わることもらありますので油断できませんw
極端な場合、①~⑤全てHで進むこともあり、私もその経験があります。
(⑤は主観的で説明が難しいですが)

監査側が新人さんの場合、講評は緊張するはずです。
(私は変わり者なので、緊張の一方で楽しんでましたが(;'∀'))
悩みどころは、話せるネタが本当に見つかるのか?という点でしょう。
この点については、過去に検出した問題点を監査調書等で確認しておくといいでしょう。
というのも、企業には文化や体質があり、指摘は1度で改善しないことも多いです。
私も同様の指摘を数年間自然と続けた経験があります。

クライアントによりますが、講評は真剣に耳を傾けてくれるケースが多かった印象ですね。
割と厳かな雰囲気がそうさせてる面もあるのでしょうが。
下手に難しいこと話そうとするのでなく、純粋に要改善だなと思ったことを誠意もって伝えるのが◎だと思います。

長くなってしまいましたが、まだ少し書きたいことがありますので、続きは明日にします。

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