#23 監査とアドバイザリーの違いを経験談から・・・

色々感じたアドバイザリー業務の経験

私はマネジャー時代前半(2~3年程度)はアドバイザリー業務(コンサル業務)をメインで活動していました。
監査法人単独で提供するアドバイザリー以外にも、兄弟ファーム(私が所属していたKPMGなら、KPMG FASやKPMGコンサルティングなど)の方々との混成チームで業務を行ったことも何度かあります。
振り返ってみれば、この3年程度は私にとって大変貴重な経験でした。
業務そのものもありますが、アドバイザリーを専門で行ってきている方と一緒にお仕事ができたことが大変貴重で。
プロジェクトに対する姿勢や思考、スキルの面で新たな視野をもたらせしてくれました。

私のキャリアを振り返ってシリーズに近くなりますが、今日は「監査とアドバイザリーの違い」について私の経験から感じたことを書きます。
読みやすいように、表形式箇条書き形式で一気にいきます。
(私の当時の所感ですので、あくまで一つの考えとして捉えていただければ幸いです。最近は監査もアドバイザリー的な発想で進めているチームが多いとは思いますので、その辺もご容赦を)

監査とアドバイザリーの違い Shoito's View

No 監査 アドバイザリ 感じた内容 ひとことまとめ
1 具体的な解決案提示をする場面は、相対的に少ない 具体的な解決案提示を常に求められる 解決案出し。お困り事や要望の聞き出しは重要だが、監査以上にこちらからの具体的な案出しが求められる。その案で具体的に何が喜びなのか?を強く意識する必要がある。 アドバイザリーは、具体的な解決案提示が求められる。監査人が弱い点。
2 顧客のニーズを直接感じる場面は相対的に少ない(気が私はする) 顧客のニーズに常に直接的に対峙している お客さんのニーズを的確に捉えること。これが把握できていないと喜ばれないし、その後の作業もしばしば無駄になってしまう。 顧客のニーズを常に的確に捉える必要がある
3 顧客のニーズ(プロジェクト目標)は基本不変 顧客のニーズ(プロジェクト目標)は変動しやすい 顧客のニーズは、置かれている状況(各部の考えや背景など)の変化によって常時変化し得るというのを実感。 顧客のニーズの変化には常に敏感に
4 聞く姿勢 提示する姿勢 相手の要望を聞き出してそれを叶える姿勢がより大切。監査はAuditというだけあって聞く姿勢重視だが、アドバイザリーは提示する姿勢が求められる。 監査:「聞く姿勢」>「提示姿勢」
アドバイザリー:「聞く姿勢」<「提示姿勢」
5 文章中心、長文中心 絵&図中心、短文中心 文章は長いと読んでくれない=理解してくれない。「キャッチ―な言葉」「長さは字幕レベル」を意識して資料を作るべき。 文章のポイント:「簡潔」「キャッチ―な言葉」「長さは字幕レベル」が良いらしい
6 文章以外のアウトプット実践をする場面が少ない 絵、図を使用したアウトプットを実践する場面が多い アウトプット能力。特に図や絵を使っての説明は監査人は苦手なはず。業務も会計基準の説明をすればいいだけの場面ばかりではなく、長い文章や難しい会計用語だけでは厳しい場面が多い。 監査人に足りないのはアウトプット能力、言い換えれば「見せ方の総合力」
7 範囲は明確化されている(ARが成果物) 範囲の明確化が重要(定めなければ、極論無限大) 業務範囲を明確にすべき。プロジェクトはユニークが故にオーダーメイドになる点とゴールセットが重要。でないと、期待ギャップが生じやすい。業務の枠とゴールラインを決めないと、極論終わりは見えてこない恐れがある。 業務範囲は明確化すること
8 顧客に「見せ方」を求められる場面は相対的に少ない 「見せ方」も意識する必要がある(と私は思う) 知識やソリューションといった『無形物サービス』の提供が多くなるが、見えない故にそれを有形にしているのが各成果物でもある。よって、成果を理解をしてもらうためにも資料の見せ方は重要(成果物キレイならOKという意味ではないが。) アドバイザリーは「見せ方」もより重要
9 フレキシブルなスケジュール対応が求められる場面は少なめ フレキシブルなスケジュール対応が求められる場面が多め スケジュール感。アドバイザリーは想定外の事態が発生しやすいのでスケジュールも変動しやすいしタイトになりがち。 アドバイザリーはスケジュールがシビア。フレキシブル対応体制も必須

※ 表が見づらい場合、こちら↓からも読めます。
https://is-cpaoffice.com/wp/wp-content/uploads/2021/09/23-監査とアドバイザリーの違い-1.pdf

以上、いかがでしたか?
「アウトプット(提示・提案)重視」
「顧客に添ったニーズ重視」
「プロジェクトデザイン(日程、業務範囲)重要」

といった感じですかね。
この視点は、独立した今でも活きていると感じます。

参考になれば幸いです。

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