#32 監査実務紹介②(棚卸立会Part2)

前回に続き棚卸立会についてです。

貴重な現場(商売、生産)を知る機会

棚卸は企業にとっての重要な現場の1つですが、監査人にとっても重要だと思います。
それは手続面だけでなく、監査人の理解(勉強)という点で重要
モノを見れるばかりでなく、現場の雰囲気、現場の方の人となり、現場の方が如何にモノに対するスタンス(リスペクト度合いみたいなもの)も感じられます。
要約すれば「企業文化を感じることができる」といった感じでしょうか。
企業文化はバックオフィスでも感じますが、現場と会議室では感じるものも随分異なります。

「事件は会議室で起き出るんじゃない、現場で起きてるんだ」

という某有名な映画(ドラマ)でもないですが、現場を知ることは大変重要だと私は思います。
特に若手会計士にとっては良い刺激になる場だと思いますので、毛穴全開にして吸収できるといいですね。

さて、棚卸の現場は業種によって色々ですが、主な場所は下記でしょうか。

倉庫
店舗
工場
バックヤード(冷蔵庫)

この4つは私が全て経験した場所です。
簡単に思い出話をさせていただくと、

倉庫
初めて自動倉庫というのを見たときは面白かったですね。
工場勤務経験者の方は見慣れてるのでしょうが、未経験で若造の私は「へぇ~」となってました。
テストカウントのために部品No.を現場担当の方に伝えると、機会に入力した途端、立体駐車場のような機械倉庫がガシャガシャー!と動き出して、スーッと目の前にモノが運び込まれてきました。
「奥にあるものでも巨大なものでも何でも言ってください!!No.押すだけですから!!」
と言われ、調子に乗って面白そうな部品のカウントをお願いしてましたね。

店舗
雑貨を扱っている店舗に何度か立会をしたことがあります。
そこは取扱点数が多数だったので、閉店後から開店まで長時間棚卸が行われていたのですが、
その間暇(監査人は棚卸が終了するまではテストカウントは原則しない)なので、ひたすら品物を見て回ってました。
普段目を留めないような物まで見るので、面白かったですね。
店長に面白い商品を教えてもらったりして。

バックヤード(冷蔵庫)
飲食店の棚卸立会の際、バックヤード(冷蔵庫)に入ったことがあります。
-30℃の世界。
使用予定の食材が複数保管されているのですが、寒くて冷静にカウントできないんですよ。
ベンチコートは貸していただけたのですが、慣れないからか寒い。
正直だいたい合っていたので「大丈夫っす!!早く出ましょう・・・」としたこともありますね。
同行いただいている方も早く出ましょうオーラでしたし。

棚卸立会は、面白い経験をしてる会計士が多いんじゃないかと思います。
いくつか私の思い出を紹介しましたが、私は割とフツーな経験だと思います。

歩き回るべし、お話を聞くべし

立会はやらねばならぬ手続も多く、かつ積み残しも許されないので、どうしても目の前の手続き完了に追われてしまいます。
ただ多少慣れてきたら、現場をとにかく歩き回って、お話をたくさん聞くと良いと思います。

無断で勝手に徘徊するのはマナー違反ですが、きちんと了承を得れば基本現場はどこでも見せてくれると思います。
マジメな話をすれば、棚卸エリアになっていない部屋があったので何気なく行ってみたら、過去に購入した不要在庫が置かれていて(それほど重要なものではなかったですが)一瞬ざわついたこともあります。
また、歩き回ることで現場の全体感を理解することもできると思います。
わざわざ生身の人間が足を運んでいるからこそできるものです。

お話を聞くのも有効です。
現場の方は監査慣れしていない場合が多く、若干抵抗気味な態度を取られる方もいらっしゃいますが、紳士&真摯な質問にはきちんとお答えいただけるものです。
質問という監査手続は個人的にはとても重要だと思いますね。(監査論では弱い手続と見られがちですが)
表情や一言一句から、資料や数字からは分からないものが見えてきます。

以上、棚卸立会について紹介しました。
勉強になる点が多い分野ですので、これから業務がある方、ぜひ多くの事を吸収してくださいね!

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