#82 昔の監査の思い出② 不正:資料切り貼り改竄

古典的な不正は時々ある

隠蔽目的も手段も、大変古典的です。
目的は、どうやら自分の懐に入れていたようで、典型的な従業員不正です。
手段は、発覚を恐れて売掛金明細を切り貼りし改竄したみたいです。

「こんな古典的な手法、本当に監査現場であるんだなぁ」って当時思いました。
一介の従業員不正なので、それだけでは監査意見には影響しなかったと記憶していますが、内部統制上の整理などなど、ざわつきましたね。
そして、見つけた先輩すげぇ、とも思いました。

結果論&憶測ですが、その支店は本社から最も遠隔地にある支店の1つで、かつ規模も大変小さい。普段の会話でも全く出現しないといっていい支店でした。
人員も少なく、その方が長らく基本切り盛りしていたと記憶しています。それほどチェック体制も強くなかったのかもしれません。
海外子会社の不正は今でも頻繁に発生し監査実務でも何かと話題になりますが、遠隔地はやはりリスクが高いんでしょうね、人の目が届きにくいがゆえに。私と似たような経験をお持ちの方も割といらっしゃるんじゃないでしょうか。

クライアントと正面から向き合える余裕を取り戻したい

重要性が低いので現実問題アプローチが大変悩ましいですが、時々テーマ監査的に確認をするのは意義があるかもと思います。
数年に一度往査するのもいいですし、ローテーションで証憑を確認するもいいかもしれません。

忙しくなり工数もギリギリになると、必要な業務必要な確認、調書作成等に追われ、余裕をもった確認や視野の広い検証ができなくなってしまいます。
品管レビュー厳格化等の現代、どうしたもんかと思ってしまいますね。
手続、ドキュメントばっかりで。
数字やクライアントと正面から向き合い、決められた手続き以外のことも検証する余裕ができるといいのにな、と思います。
それこそが会計士の存在意義なのに。
10年強大手法人の現場にいましたが、徐々にその余裕が下がった気がします。
憂いていても仕方ないのですが、そう思わずにはいられないですね。
監査現場の方々には本当頭が下がります。

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