会計士は独立し易い職業だと思っています
会計士のキャリアの1つに「監査法人→独立開業」というのがあります。
かく言う私も、監査法人の次のキャリアとしてこれを(現在は)選択しました。
キャリアは多様ですが、依然として主要な選択肢かと思います。
私は、会計士は独立し易い職業と思っていますが、今日はこの理由について考えを書いてみます。
なお、「実力さえあれば、会計士であろうがなかろうか、なんだってできる」という考えもあることは承知しています(私もそうなりたいと思っている)。
私の考える環境として捉えていただければ幸いです。
【前提】
本題に入る前に、ここで言う「独立」の定義だけ揃えておきます。
「独立=employee(正従業員)ではないこと」
とします。言い換えれば、いわゆる下請けのような仕事の仕方であっても、それは独立として考えます。
(この辺の考え方は、ロバート・キヨサキ氏による「キャッシュフロー・クワドラント」を引用しています。)
伊藤の3つの考え
キーワードは
「金銭的余裕」+「時間的余裕」=「精神的余裕」
つまり、
「金銭的余裕を持たせられる → 時間的余裕を持てる ⇒ 各準備やチャレンジへの時間を確保できる」
これを、ディフェンス面オフェンス面も加えて分析します。
それぞれ見ていきます。
1.金銭的余裕
独立するにあたってはその精神的障壁を取り除くことが重要ですが、
最も関心が高いのは、やはり金銭面ではないかと思います。
そうです、「金が持つのか?」
金銭的余裕は、独立のディフェンス機能を持たせます。
さらにこれを
「キャッシュイン側」
「キャッシュアウト側」
に分解してみます。
【1-1. キャッシュイン側】
キャッシュイン側としてプラスに挙げられるのは、
「監査」業務の存在
これです。
監査業務は独立するにあたってセーフティネットになると考えます。
経済原理にあてはめ、「顧客、供給、需要」の3点で考えてみます。
- 顧客:法定監査の社会不可欠性
上場会社を中心に法定監査の顧客需要は一定数あります。
法で求められている以上突然消えたりはしにくい。
景気や流行などの変化に強い。
つまり、安定的な仕事の存在が挙げられます。 - 供給:独占業務
公認会計士は監査業務を独占業務としています。
この枠組みが独立をイージーにしてくれていると考えます。
つまり、参入障壁が高く供給者が突然増加しにくいことが挙げられます。 - 需要:職員(非常勤を含む)の需要
中小規模の監査法人を中心に、監査スタッフは非常勤職員(当然に問題なく監査業務を行える会計士が条件です)をしばしばアサインします。
つまり、需要側もニーズが比較的安定的に存在するものと思われます。
また雇用機会が非常勤であることで、供給側としても他の業務時間も確保しやすく、複数の草鞋を履きやすい点も特徴です。
このように、それぞれに安定機会が備わっています。
一言で言えば、法で守られている。
1つでも欠けると不安定になりますが、監査業務はそのリスクが比較的小さいと言えます。
まずはこれで独立するにあたっての、キャッシュイン側として「ディフェンス」が確保されます。
【1-2. キャッシュアウト側】
独立の開業資金があまり要りません。
設備機械は当然不要、オフィスも最悪なくたって可能。
イニシャルコストは特に小さい。
取り急ぎかつ最低限必要なもの、といえば、
PC等の通信機器、ネットワーク環境や、協会会費(資格を保持するという観点)くらいです。
名刺などその他は拘らなければしれています。
通信関係は、コロナによるリモート環境も進んだことで既に整備済みの人も多いと思いますし、
事務所借りずとも自宅でスタートすることも何ら問題なく可能です。
自己研鑽といった自己投資は必要ですが、ランニングコストの側面が強いので、当初の過大な負担にはなりません。
キャッシュインの機会存在とキャッシュアウトが小さい事業性質。
当然手元に資金力に余裕を持たせた状態で業務開始ができます。
次に「時間的余裕」ですが、長くなるので、次のブログに回します。