#35 公認会計士試験制度変えるの?会計監査の在り方に関する懇談会から

会計士の能力と魅力

それはさておき、本議論では「会計士の能力が下がっている。だから不正も起きるし社会の要請にも応えられていない」ということを言っているようです。
会計士の能力を担保するために、試験制度を変えた方がいいのではないか?と。

「会計士&監査の質が下がっている」という主張自体私も全否定はしません。
(明確な根拠は持っていませんが、反論できる実感もないため)

ただ、監査の質の向上という目的に対する手段として試験制度の改正は大いに疑問です。
仮に本議論の論点が会計士の能力だとした場合、そもそも能力ある人が多くこの世界に飛び込んできているのでしょうか?
(そうだとしたら試験制度2つ作る意義に乏しいし、バラつきがあるなら合格率下げればいいだけの話だと思います)

私は現在の問題の所在は「試験の難易度(試験制度)=会計士の能力」ではなく「会計士の魅力=会計士の能力」だと思っています。
つまり、純粋に会計士になりたいと思う優秀な若者が集まるかどうか。

私はこのブログでもしばしば意見しているように、倫理観的な感性が好きです。
しかし、これはあくまで個々人の心構えであって、こと業界の魅力という点に対しては倫理観や精神論だけではどうにもならないと思っています。
これに対しては「社会に役立つ」という高尚なインセンティブではなく、「能力開発」「将来&人生の豊かさ」といったもっと現実的なインセンティブが出てこないと厳しい気がしています。

今の魅力的な部分はどこにあるでしょう。
なかなか思いつかないですね。
新しい会計基準や不正が起こる度に、厳しく量も増える監査手続。
それだけアカデミックな側面も色濃い。
最初から他の業界行った方が、ビジネス経験的にも出口戦略にも有効、と考えてしまわないでしょうか。
会計士試験受けるなんてコスパ悪い、と考える若い人はたくさんいると思います。
それは一理あると思っています。
要は「人生トータルのキャッシュ&満足度」という点で、パが悪い。

現役の会計士がこんなネガティブな事言っていてはいけないんですが。

面白き会計士業界に向けて

ここまで偉そうに言っておいて
「じゃあお前は対案あるのか?」
正直ありません。
思いついても断片的&非現実な面も多そうで。
しかも、協会側というより法人側の対応として
・副業OK → 横の経験を柔軟に&可能に
・超長期休暇制度(半年フリーにする制度) → 面白い働き方スタイルの創設
というもの。
言いたい放題書いてきましたが、結局悩ましい問題です。
取り巻く環境も変わっているので、従前の在り方が似つかわしくないことも多いでしょうし。
純粋に「この仕事に就くといいことあるな」と感じられるかどうかなんですが・・・

ただ、だからといって試験制度を安易に変更するのはどこか違うのではとは思うのです。

一介の会計士として、面白い業界になってほしいです。
業界の変遷に今後もアンテナを張っていきたいと思います。

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