#61 監査法人からのIPOキャリア①

② IPO準備に向けた各種アドバイザリー

①で検出された課題の対応をすべく、監査法人も独立性に反しない範囲でアドバイザリー業務を提供することがあります。
課題内容によるので業務は様々ですが、監査人となると内部統制関連が多いでしょうか。
私もその経験があります。
今後は監査人の独立性も厳しくなるトレンドですから、手掛ける範囲は狭くなっていくかもしれません。
(参考:#43 (最新情報)IESBA倫理規程の解説動画がupされました
それもあり、監査法人としては特段②の業務をせず③以降を迎えるケースもままあります。

③ 期首残高調査

そのままです。④の監査をするにあたっての期首残高を固めます。
ここから監査の匂いが強くなります。
貸借対照表の監査とほぼ同様の手続きを踏むことになろうかと思います。
なので、確認、立会は必ず行われますし、固定資産や投資も主要な取引や残高への詳細テストが行われるでしょう。負債項目も同様です。
タイミング的には、立会がある以上期末日前後から、期末日後1か月~2か月の間のどこか、が多いでしょうか。
内容的にもスタッフはアサインされやすいです。

残高がきちんと固まり、④以降が問題なく遂行できそう(つまり監査意見を出せるレベルに達している、達する見込みが十分である)と判断されれば、各法人受嘱審査をクリアした後に④へと進んでいきます。

④ 準金商法監査~ ⑤ 金商法監査

④及び⑤は、監査と言っていいです。
⑤は完全に監査、④もほぼ監査です。
④は、監査報告書を上場時にまとめて過去2期分発行する、という点は特徴的ですが、各期きちんと監査手続を踏み、実質的に監査報告書を発行できるだけの監査証拠を入手する意味では通常の監査と同じです。
昔は、監査報告書発行前までに監査証拠を入手すればOKという実務を聞いたこともあります(実際にどの程度やられていたかは私は知らないです)が、今はそれも少ない気がします。あるべき姿でもないですし、リスクも残しますしね。

ただIPOという性質柄、指導的機能を発揮する場面が他の上場企業監査よりは多いでしょう。
会社も常に変化している最中ですから、新たな取引新たな論点が出ることはしょっちゅうです。
過去に構築した各制度も、まだ柔らかいことが多く、適宜再整備することも多いです。
色々な相談も多いですね。


大分長くなってしまいました。
IPO業務の特徴を次に書きますので、今日はここで筆をおきます。
次回お楽しみに。

-その他キャリア, 専門知識・実務・お仕事